廃水処理技術の例

廃水からのリン酸塩の回収

 

 

ゴミも廃水も資源の可能性

地球の資源は限られています。

工場からの排水や廃棄物、生活廃水や家庭のゴミ、不要なモノと思われているモノの中には、大金を出して買っているような資源が含まれています。

それらの資源は環境中に放出されると環境を汚染し生態系を破壊する原因となることもあります。

不要なモノの中から貴重な資源を回収することは、環境問題の改善と経済の発展を両立させる一石二鳥で重要な技術と考えられます。

 

 

 

 

 

 

リン酸塩と水質汚濁

一般家庭や食品工場からの排水には多くのリン酸塩が含まれています。

リン酸は生物にとって必要不可欠な物質で、農業や工業でも広く利用される資源です。

しかし、川や海などに放出されると環境破壊を引き起こし、漁業などの産業にも大きな被害が生じます。

このため環境保全と資源回収の両面から、廃水からリン酸塩を回収する技術が期待されています。

 

 

 

 

 

 

廃水からのリンの回収

工場の排水や都市の下水からリン酸を回収する方法の一つとしてとして「嫌気好気活性汚泥法」と呼ばれる方法があります。

廃水を酸素の無い状態にしてから、酸素の有る状態にするとリン酸が減ります。

 

 

 

この方法では、「ポリリン酸蓄積菌」または「リン除去細菌」と呼ばれている細菌がリン酸塩を取り込むので、その細菌を回収することによって廃水中からリン酸が除去されるのです。

ポリリン酸蓄積菌は、嫌気好気活性汚泥法の排水処理装置の中で他の細菌と一緒に自然に増殖する細菌です。

 

 

ポリリン酸蓄積菌

細菌の内部にはポリリン酸と呼ばれるリン酸が繋がった物質が蓄積されていることがあります。ポリリン酸のリン酸が一つはずれると高いエネルギーが放出されるので、細菌の内部ではポリリン酸をエネルギー貯蔵物質として利用しているのです。

ポリリン酸蓄積菌とはポリリン酸を多く含んだ細菌で、この細菌の研究を進めることは排水からのリン酸の除去や、リン酸資源の回収に役立つことが期待されています。

 

 

 

 

しかし、ポリリン酸蓄積菌だけを純粋に人工的に培養することは困難であり、まだ詳しいことは分かっていません。

 

(作成 Shin Onda