排水からのリンの回収

排水からのリンの回収

1-1 リン酸塩と富栄養化

一般家庭や食品工場からの排水には多くのリン酸塩が含まれています。リン酸は生物にとって必要不可欠な物質で、農業や工業でも広く利用される資源ですが、川や海などにに放出されると富栄養化の原因となり、青潮などの環境破壊を引き起こし、漁業などの産業にも大きな被害が生じます。
このため環境保全と資源確保の両面から、排水からリン酸を回収する技術が期待されています。
1-2 下水・排水からのリンの回収

工場の排水や都市の下水からリン酸を回収する方法の一つとしてとして「嫌気好気活性汚泥法」と呼ばれる方法があります。
排水を嫌気状態(酸素の無い状態)にしてから、好気状態(酸素の有る状態)にするとリン酸が排水中に存在する「ある細菌」に取り込まれ、その細菌を回収することによって排水中から除去されることが知られています。
この細菌は「ポリリン酸蓄積菌」または「リン除去細菌」と呼ばれています。
ポリリン酸蓄積菌は嫌気好気活性汚泥法の排水処理装置の中で他の細菌と一緒に自然に増殖する細菌ですがポリリン酸蓄積菌だけを純粋に人工的に純粋培養することは困難であり、まだ詳しいことはまだ分かっていません。
図1-1:

排水からリン酸を除去するプロセス

1-3 ポリリン酸蓄積菌

顕微鏡写真1-1:
ポリリン酸蓄積菌のポリリン酸顆粒写真で濃い赤に染まっている部分がポリリン酸
細菌の内部にはポリリン酸と呼ばれるリン酸が繋がったような物質が蓄積されていることがあります。
ポリリン酸にはリン酸同士の結合がありリン酸が一つはずれると高いエネルギーが放出されまするので、細菌の内部ではこのポリリン酸がエネルギー貯蔵物質として利用されていることがあります。
ポリリン酸蓄積菌とはポリリン酸を多く含んだ細菌で、この細菌の研究を進めることは
排水からのリン酸の除去や、リン酸資源の回収に役立つことが期待されています。
1-4 エネルギー源としてのポリリン酸 (10.11.08 追加)
ポリリン酸蓄積菌のポリリン酸は、生物の酵素を利用して製品をつくるバイオリアクターのエネルギー源としても活用できる可能性も考えられています。
生物内の反応ではATPという高いエネルギーを持った物質が利用されますが、ATPではリン酸の結合が切れるとき高いエネルギーを放出して生物内での化学反応のエネルギーとなります(これを「高エネルギーリン酸結合」と呼びます)。
ポリリン酸も同じようなリン酸結合を沢山持っているいるのでATP生成に利用すれば効率よくエネルギーを得ることができるのです。

1-5 研究開発の動向

排水や廃棄物からのリンの回収は、幾つかの研究機関や民間企業で研究開発が行われています。
環境バイオテクノロジー学会リン研究部会では、排水や廃棄物からのリンの回収の研究についての報告がされています。環境バイオテクノロジー学会リン研究部会(リンク)

 


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