発電所から一般家庭・会社・工場などに電気を届けるシステムを電力系統と言います。
発電所から電気を届ける設備には、送電(電気を送る)・変電(電圧を変更する)・配電(電気を配る)があります。
系統用蓄電池とは電力系統に接続した蓄電池です。

電力は需要と供給のバランスが大切で、需要にあわせて適切に電力を供給しなければなりません。
水力発電所や火力発電所は需要に応じた電力を供給する能力がありますが、太陽光発電や原子力発電にはこの機能が不十分です。
近年、エネルギー資源の原価の高騰や地球温暖化予防のCO2削減などにより化石燃料を利用する火力発電所を減らす傾向がありますので電力のバランスが難しくなります。
柔軟に充電・放電のできる蓄電機能の重要性が高まってきています。

電気を蓄える設備には揚水発電や蓄電池などがあります。
揚水発電は水力発電の一種で、電力需要が少ない時間帯に余剰電力を使用して水を上部貯水池に汲み上げ
需要が高まる時間帯に水を下部貯水池に流し落とすことで発電します。
系統用蓄電池は設備を設置しやすく出力調整が容易なことから需要が高まっています。

このような背景により2022年の電気事業法改正において系統用蓄電池の扱いが明確化されました。
参考(外部リンク)——————
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/062_05_00.pdf
一部抜粋
「【参考】 電気事業法における蓄電池の位置づけ
? 2022年の電気事業法改正において系統用蓄電池の扱いを明確化。
1万kW以上の系統用蓄電池から放電する事業を「発電事業」に位置付け、系統への接続環境を整備]
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従来の蓄電池は太陽光発電などの発電施設で電気を蓄える用途で使用していましたが、
系統用蓄電池は発電所とは独立して電力系統の途中で電気を蓄える役割をになっています。
また、系統用蓄電池は電力の安定供給ばかりではなく震災対策にもなると考えられます。

<<参考URL(外部リンク)>>

電力系統
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E7%B3%BB%E7%B5%B1

揚水発電
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8F%9A%E6%B0%B4%E7%99%BA%E9%9B%BB

小水力発電
https://j-water.org/about/

日本全国の蓄電所一覧地図(発電所データベース)
https://agora.ex.nii.ac.jp/earthquake/201103-eastjapan/energy/electrical-japan/type/9.html.ja

系統用蓄電池の現状と課題
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/062_05_00.pdf

蓄電所に対する保安規制のあり方について
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/denryoku_anzen/hoan_seido/pdf/010_01_00.pdf

系統用蓄電池事業の可能性
https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/REI_Grid-ScaleBatteryStorage_2507.pdf

(2025/11/02 Shin Onda)